2010年2月23日火曜日

Libraryからの参照

QCにはあらかじめ参考となるプログラムが用意されています

HDのライブラリーからQCのフォルダを開いて下さい


「Examples」と「Templates」です

「Templates」はQCを立ち上げたときに用意されているテンプレートプラグラムです

「Examples」は一例としてのプログラムがずらっと入っています


作品を作る過程で誰しもが壁にぶつかります

もしぶつからなければ、それはあなたが簡単なものばかりを制作しているからです

高い目標を設定すれば必ず自分の知識の限界を超えて「お手上げ」という壁にたどり着きます


作品を制作するには2つの作業にわかれます

一つは「どういった物を作るか」

もう一つは設計図をもとに「建設する作業」


建物を建設するのに「設計図」や「見取り図」がなくては建設作業中に

寸法が合わない、作業時間が読めない、、、等のアクシデントに見舞われてしまいます


設計図を作るのに必要な物は「紙」と「ペン」です

しかし「紙」「ペン」は道具であり、必要であればいくらでも用意できます

大事なのはそれを思い描く「想像力」です


「想像力」を鍛えるには、優れた作品を沢山鑑賞する事が良いでしょう

その作品がなぜ優れているのか

どの部分が優れているのか

研究し、楽しんで下さい

すると想像力は翼が生えたようにひろがり

あなたの頭の中を駆け巡りアイディアの種を運んできてくれます


「建設作業」は知識の集合です

どういうプログラムを組めば良いのかわからないのは

知識がないからです

しかし心配する必要はありません

知識はいくらでも身につける事ができるからです

「Examples」からイメージに近いプログラムを開いてください

プラグラムを見て、パラメーターをさわり

自分の知識を高めてください


また、どうしても行き詰まってしまい

自分では解決できない問題にたどり着いた場合

人生でもそうするように

誰かに相談するのも一つの方法です


2010年2月11日木曜日

QCクリエイター作品の紹介2

DJGJのメンバー合作による

「あのテーブル」

Björk(ビョーク)のライブで紹介された「reactable」を作りたい

との発想から生まれた「あのテーブル」

DJGJの2009年を通しての年間プロジェクトとして制作・研究をかさねた作品を紹介します


スペインの開発チームが作ったreactableは

青白く光るテーブルにコマ状の「マーカー」を置き「演奏」できるというもの

開発社のwebページに作り方やソフトウェアが公開されています

reacTIVision 1.4(http://reactivision.sourceforge.net/)


reacTIVisionというソフトで右図のマーカーを読み取り

「番号」「位置」「角度」を検出します

「TUIO」という信号をアプリケーションに送信し

アプリケーションで描画した映像などをプロジェクターからテーブルに映すという設計


TUIOはQCの標準ではありませんがプラグインが配布されています

TUIO信号は音楽シーケンサー「REASON」にも送信され

マーカーの位置情報や角度などが

「QCの映像」「REASONの音」になります





VJWS#2でのDJGJ奥平氏の話では

そこまでは順調に出来るがテーブル筐体自体の制作が非常に難があったそうです

筐体自体は工芸大生の服部によるデザイン

アクリルを加工する行程ではその大きさから加工や強度等

プロダクトデザインの難しさだけでなく

プロジェクターの光によってカメラが誤認識をしたり

プロジェクターの真下から当てることができず鏡を利用することによる誤差修正等

多くの課題があったそうです


作品の展示は

2009.4.19「Quartz Composer Workshop #2」(AppleStore 銀座)

2009.8.21-24東京工芸大学芸術学部 グループ展「自己満」展

2009.10.24-25「ニコニコ技術文化祭」(東京工業大学)

2009.12.1-4「Oak Valley 2009(株式会社ゴングインターナショナル内覧会)」

と年間を通して4回公開されました

回を重ねるごとにバージョンアップをしているそうです




2010年最初の展示は

東京工芸大学芸術学部 卒展

プロダクトデザイン服部の作品として展示されます

筐体自体をバージョンアップされ生まれかわった

「あのテーブル」 

2010年2月19日(金)、20日(土)、21日(日)

六本木アカデミーヒルズ40で展示されていますので

是非足を運んで下さい

http://www.t-kougei.ac.jp/arts/gallery/gra.php



DJGJ(http://blog.djgj.jp/

2010年2月8日月曜日

QCでiTunesビジュアライザー

Quartz ComposerはCamTwistなど他のアプリケーションのカスタマイズに適しています

以前「TIPS」でマイク入力によるビジュアライザーの作り方を説明しましたが

今回は「iTunes」用のビジュアライザーを制作します

「iTunes」ビジュアライザーはQCを起動させた際に「music Visualizer」を選択すれば

テンプレートのビジュアライザーが始めから出来ている状態から始まります

そこをお好みでカスタマイズすれば、簡単に制作できますが

逆に映像が先に作られている、もしくはマイクデバイスからのビジュアライザーをiTunes用に変更することができます

QCを起動し「basic」を選択してください

今回はLEDライトが音楽に合わせて点滅するビジュアライザーを作ります


「sprite」を配置しXYサイズを「0.04」程度の小さな点状にし

丸い形をした画像を「image」につなぎ「小さな粒」を画面に表示します


次に「iterater」を用意します


「iterater」は決められた回数を繰り返すというパッチです

QCには「if〜for」文の概念はありません

「if〜for」文とはプログラムで「もし○○でなければ、○○であれば」という命令です 

「変数に数字を1ずつ加算していき10になるまで繰り返し変数が10であれば終了する」
といった命令で繰り返しを命じます

QCはよりわかりやすく映像を作る為に「iterater」で「10」と入力するだけで繰り返しを命令することができます


「iterater」はマクロパッチに属しているのでダブルクリックをして「iterater」の中に

コピー&ペーストで先ほどの「小さな粒」を入れて下さい

「iterarer」の中に「Iterator Variables」パッチを配置してください

「Iterator Variables」は「iterarer」の命令を伝えるパッチです




Current Index (Index) : 親の Iterator の何回目の繰り返しかを取得。
Current Position (Number) : 親の Iterator の繰り返し位置。繰り返しの最初で 0.0、繰り返しの最後で 1.0 になる。
Iterations (Index) : 親の Iterator の繰り返し回数。

                (※おなかすいたwikiより転記)

Current Positionを「Y」につなぎます

「iterarer」のindexが10であれば中心(0,0)から上に10個「小さな粒」が表示されます

中心を軸にしたいので「Math」パッチに「-0.5」をたすことにより「-0.5」〜「0.5」に10個の「粒」になります

「粒」を「縦10」「横10」合計100個つくりたいのですが

Current Positionを「X」につないでしまうと斜めに「10」できてしまいます

ここで最上部に戻り再び「iterarer」パッチを用意し、その中に全て入れてしまいます

つまり「縦に10の粒」を横に10「複製」し 画面に100描画することができます


しかし左図の用に「Iterator Variables」からの信号をつなげる「Xposition」がありません

もう一度「sprite」のある階層に戻ります


一つ上の階層にパッチの「穴」を「公開」したいときは

パッチの上で右クリックをし「publish inputs」から

「Xposition」を選択します


再び上の階層に戻ると「Xposition」が現れます

前回と同じように「-0.5」をたして「Xposition」につなぎます

以上で100の粒を表示できました


一番上の階層に戻り

iTunesビジュアライザーの信号を取得するパッチはプリセットで用意されています

QCの上のタブに注目してください


EditorからEdit Protocol Conformance... を選択すると

テンプレートの選択画面が表示されますので「Music Visualizer」を選択

5つのパッチが配置されます


Audio Peak ( Required ) : 音量のビーク値 ( 0.0~1.0 )
Audio Spectrum ( Required ) : 周波数別の音量の配列 ( 0.0~1.0 の配列 0~15 )
Track Position ( Optional ) : 再生中の位置 ( 先頭からの秒 )
Track Signal ( Optional ) : 曲が変わったときにシグナルを発生させる
Track Info ( Optional ) : 再生中の曲の情報の辞書
name : 曲名 ( 文字列 )
artist : アーチスト名 ( 文字列 )
album : アルバム名 ( 文字列 )
genre : ジャンル名 ( 文字列 )
trackNumber : アルバム内の曲の番号 ( 0~ )
numTracks : アルバムの全曲数 ( 1~ )
duration : 曲の長さ ( 秒 )
year : 曲の年
artwork : ジャケットイメージ ( 画像 )
rating : マイレート ( 0~5 )
playCount : 再生回数 ( 0~ )

              (※Quartz Composerにどっぷり! より転記)


Audio PeakやAudio Spectrumからの信号を「iterater」のindexにつなげることにより

縦横に「iTunes」からの音の信号によって変化するモーションが表現できます


一つ下の階層にもどり「iterater」の「Iterations」をpublishします


最上部に戻ると「Iterations」が2つになっているのでお好みの信号をつなぎます

colorはおなじみのHSL Colorの「Hue」をpublishします

最後に「Track Info」から曲の情報を取り出し描画し完成です


完成したQCファイルは「iTunes」の任意のフォルダに移動させ

itunesを再起動すると「ビジュアライザー」の中に反映されます




2010年2月3日水曜日

QCでモーショングラフィック

私は映像制作をするなかで、より良い映像を作るため

効率よい作業をし、最短でたどり着く道を探します

その状況に適した道具を使い分けるのが最良の道だと考えます

建設業に従事している方は場所作業において重機を使い分けます

その「重機を操り」「重機を選択」するのも人間です


今回はQCでモーショングラフィックを制作します

モーショングラフィックを制作する場合は「AfterEffects」を使用した方が

効率的ですが、まだ紹介していないパッチを使うので最後までお付き合い下さい


ファンタジー世界で「蝶」が「光る粉」をまきながら「螺旋状」に飛んでいく映像を制作します

まずは「蝶」です

蝶の動きは左右対称な羽で「羽ばたき」飛んでいます

一枚の画像で真ん中で折って上下させることが出来れば

簡単に「羽ばたき」を表現できますが折りたたむことは難しいです

片側だけを書いた「2枚の画像」を用意し、上下させれば良いわけです

2枚のimageを用意して、2つの「sprite」を用意して各々をつないで下さい

片側だけ書かれた蝶の絵が重なることにより1匹の蝶の絵が描画されています


こちらに「はばたき」のモーションをつけていきます


回転と角度を調節するのは「Rotation」です


まずは「X Rotation」を90度に設定し

「Y Rotation」に「LFO」パッチをつなぎます

「LFO」は三角関数波形を出力するパッチです


左図がsin波とcos波の関係図です(コマネチ大学Webサイトより転記)

今回はどちらでも良いのでsin波のまま両方につなぎます


すると片側は大丈夫ですが、同じ角度に両方動いてしまいます

蝶は胴体を中心に左右が同時に動きますので

片側に「Math」パッチを適応します

「Mtah」パッチは数式を入力するパッチです

片方の羽は逆の回転をしてほしいので「−1」をかけることによって

角度が逆になりミラーのように対称な動きをします

右図を参考に数式を入力してください

以上で「はばたく」「蝶」の完成です


次は「光る粉」をつくります

「QCでつくる時計」のTipsで登場した「pareticle System」です

「image」に「Blur」を経由しつなぎます

「Blur」はいくつか種類がありますがお好みのもをを探してください


「COLOR」に先ほどの「LFO」から「HSL Color」の「Hue」を経由します

以上で蝶から「光る粉」がまかれている演出の完成です


最後に「螺旋状」の動きをつけます

「光る粉」は蝶に付随するものなので

蝶と光る粉の「position」は同じでなければなりません

円の軌道を描くには「X」にsin波、「Y」にcos波をつなぐことによって表せます



「Z」に「Interpolation」パッチをつなぎます

「Interpolation」は入力された値を出力するパッチです(※QCでRSS表示)

「Z」は奥行きなので画面手前から画面奥までの値を入力します

以上で「螺旋状の動き」が完成しました



モーショングラフィックを作る場合

作る順番を熟慮する必要があります

「形状」それから「動き」という順番をくずしてしまうと修正が困難になってしまいます

この考え方は映像を作る上で非常に重要なセオリーです


まずは「形から入る」映像だけではなく全てに応用できそうなセオリーですね